名品図鑑

STYLISTの名品図鑑 Vol.2 カットソー

カジュアルが苦手だった私


スポーティな空気をまとったファッションは苦手、というか好きじゃなかった私。


なぜなら、もともと運動音痴だし、そういう衣服はスタイルが良くないとサマにならない
ものが多い。それに何よりエレガントじゃないし、美しいものがあまりない、と感じてい
たから。(今思えば狭い視野での先入観なのですが・・・)


STYLISTで妹子さん一推しのストレッチの効いたカットソーとジョガーパンツのシリーズ
が出た時も、そんなに気にはならなくて、すぐに試してみることもしていませんでした。


あまりにおすすめいただくし、他のお客様たちも「とっても良い!」と口を揃えておっ
しゃっていたので、私には似合わないと思いつつ半信半疑で着てみると…


着て驚く、きれい見えの理由


びっくりするぐらい、ボディラインを拾わないのになぜかシュッとスリムに見える。 余分
なダブつきはなく、でも、程よく身離れする生地とシルエット。


大人の女性が、日常のカジュアルシーンにも品格を忘れずに着こなせる顔。 そしてコー
ディネート次第ではホテルのランチにも行けてしまう優雅さまで出せる。 そんなことって
あるのだろうか・・・ いや、STYLISTの洋服ならあるのか・・・と しばし言葉を忘れて
鏡の前で後ろを向いてみたり横から見てみたり。


それに加えて、着てから私自身にもある変化が起きました。


私はもともとジャケットスタイルやワンピースなど、かっちりめ・綺麗めのファッション
が多かったのですが、それだけではない“こなれたおしゃれ”もしてみたいという気持ちが
ずっとあったんです。 ジュエリーデザイナーという職業柄、華やかで整った服装とジュエ
リーの相性が良いのは当然なのですが、それは時に「少し古い印象」に映ることもあ
る。 一方で、スポーツテイストには自信が持てず、視野にすら入っていませんでした。


そんな私が、「似合う」と実感できたこのカットソーとの出会いは、まさに“新しい自分”
との出会いのようでした。 自分自身のスタイルが広がっていく感覚。このコーディネート
にバロックパールをつけてもいいだろうな、足元はスニーカーの時もあればパンプスを合
わせてもいい。 あれこれコーディネートの妄想が膨らみ、ファッションが自己表現の幅を
大きく広げてくれるものだということを、あらためて実感できた瞬間でもありました。


そんなふうに綺麗見えするのは、まず素材に秘密が。 ここまでストレッチ性がよくてス
ポーティな印象もあるのに綺麗な仕上がりになっているのは、その表面のマット感と光沢
感のバランス。 これは、コットンが約半分近く含まれているため、スポーツファッション
特有のテカテカした非日常感が出ないんです。 それが大きなポイントのようでした。 あ
くまでこれはスポーツテイストを加えた、大人の日常服。だからこその着心地の良さも重
視した素材選びになっているのでした。


絶妙な設計が導く"誰にでも似合う"感覚


そして、カットソーの形も、襟ぐりの開きや身ごろの幅、肩のかぶり具合などが計算され
尽くしたもの。 だからこそ、ちょっとお腹周りが気になる私も、デコルテや首筋のライン
が気になる方にも、肩の丸みを目立たせたくない方にも、誰しもにフィットするマジック
シルエットになっているんです。


私は初代モデルを購入していますが、今もずっと愛用しています。耐久性もとても優れて
いて、頼もしい一枚です。 そして黒とトープの2色持っていますが、黒はSサイズ、トー
プはMサイズ、と買い分け。 なぜなら黒はモードな印象に仕上げたかったので、やや
フィットしてもいいと思ったから。 一方でトープは、お腹や背中の肉感が黒よりもやや目
立ちやすい色味で、角度によって玉虫色のように光る生地。 だからこそ、サイズにゆとり
を持たせて大人のデイリーカジュアルとして楽しみたかったのです。 こういう風にどちら
のサイズを選んでも、その人に寄り添ってくれるのは妹子さんの審美眼に基づいた素材と
形のなせる技。


進化し続けるベーシック


ほぼ毎シーズン、こちらのシリーズは継続されているのも納得の、万能選手な一枚です。
シーズンごとに微妙に形に変化があるのは、その時その時の社会の流れや時代感、着こな
すムードはやっぱり変化するから。 そうしたところを、一度決めた定番のパターンに甘ん
じずにどんどんアップデートしていってくれるのも心強いポイントです。 いつの間にか、
「数年前からの定番をずっと着ているクラシックな人」になる心配もありません。


それはSTYLISTがあくまでも「STYLIST」だからです。 洋服を作って終わりじゃなくて、
スタイルにまで落とし込んで完結する、だからその進化は止まることがないんです。